法印轉衣式
2015年03月13日 23:3512日、13日と高野山へ上がっていました。金剛頂寺は、長い間、高野山では金剛三昧院さんにお世話になっています。もちろん、私も金剛三昧さんにはずいぶんとお世話になりました。何も知らなかった私に、あれこれとご指導いただいたのも金剛三昧さんです。長老さん、院下さん、執事さん、役僧さん、沢山の方に、沢山の事をご指導いただきました。その金剛三昧院さんの長老である、久利康彰大僧正(東南院ご住職)がこの度、第五百十六世寺務検校執行法印に昇進され、本日「法印轉衣式」に臨まれました。
寺務検校執行法印とは、高野山真言宗では最高の位です。お大師様のご名代として高野山内で執り行われる重要法会を取り仕切り、それぞれお導師をお勤めになられます。任期は1年で、その任期中は高野山を離れることが出来ません。有資格者は沢山おられても、「ご縁」が無いと就くことはできません。皆が皆就くことが出来ない、大変に名誉な、そして大変な重責をお勤めになられるのです。法印様が、その証である、緋色の袈裟、緋色の衣に召し替えられるので、衣を転ずる、轉衣式といわれます。その晴れの式典にご招待をいただき、「一生に一度の在るか無いかの」素晴らしい経験をさせていただきました。
高野山開創1200年記念FBに轉衣式の様子がアップされています。
12日の朝、高野山は大雪が降ったそうです。雪化粧の国宝多宝塔。12日の夕方到着すると第一声に「準備終わりましたよ~」と突っ込まれました(゚Д゚;)。
4月の慶讃法会で履く下駄を購入。滑り止めのゴムを打ってもらいました。地面が濡れていると下駄は滑るのです(+o+)。
専学時代の下駄が金剛三昧院で未だ現役でした(゚Д゚;)。使ってくれてありがとう(^_^)!
明日、法印様の随行をする役僧さん(1人は専学同期くん)。習礼に余念がありません。
轉衣式のお次第。なかなか見ることのない資料です。
杉枝で結界が張られ、寺紋の提灯が用意されました。
幕が張られ、いつもとは雰囲気が違います。
13日の朝は冷え込み、水桶に分厚い氷が張っていました。風が冷たい(゚Д゚;)。一宿一飯の恩義は下座あるのみ!朝のお勤めは、初めて外陣で参加しました。・・・不思議な感じです・・・。
観学会に進みお許しをいただくと身に着けることのできる「正絹の白袈裟」。初めて見た!
金剛三昧院大広間に有縁の皆様がお集まりになられ、和やかな雰囲気。金色に輝く襖絵は、小栗宗丹(室町中期)の『金地著色梅花雉子図(こんぢちゃくしょくばいかきじず)』です。全14面が重要文化財(旧国宝)です。
普段開くことのない持仏の間を開けて、御法楽。開けられた幕から持仏の間に直接出入りできるのは大阿闍梨様しか出入りできません。普段私たちは横の襖から出入りします。僧分にとっては戸口の出入りまで細かい決まりがあるのです。
いよいよ金剛峰寺へと向かいます。
高野の街を歩きます。
金剛三昧院から金剛峰寺まで、ゆっくり歩いて15分くらいでしょうか。金剛峰寺の正門をくぐれるのは皇族と限られた高位僧のみです。なので法印様と随行は正門から。一般僧は向かって右の「くぐり戸」を使います。一般参拝者の皆さんはこの限りではありませんので、気にせず正門をお入りくださいね。
こちらの玄関は上綱職の方のみが用いる玄関。私たちも観光客の方と同じように普段は一番東の一般参拝口を用いるのですが、今日は特別!私たちもこちらの玄関から上がらせていただきました!(≧◇≦)
こちらの玄関から入ることは・・・多分もう無い・・・。ありがたいなぁ(≧◇≦)。
転衣式の執り行われる金剛峰寺大広間。奥の部屋が「上段の間」。朱の座布団には前官様(歴代の法印様方々)が座し、手前の半畳の毛氈に法印様が座します。
私たち法縁の者は表廊下の椅子に着いていたのですが、ご案内をいただき大広間内に座すことになりました。「正座より椅子がいい」とおっしゃる方が多く、あれよあれよと上座に・・・。 やべー(゚Д゚;)! 席次が二番目だ! めちゃくちゃ上座だ! 近い(≧◇≦)!
ここで法会課長より緋袈裟緋衣が運ばれ、お召し替えのために法印様は一旦退堂されます。
こんな感じにずらりと居並ぶ山内ご住職方よりも上座だなんて・・・(゚Д゚;)。怒られないかな・・・。
しばらくして、緋袈裟緋衣に召し替えられて法印様が入堂されました。鮮やかな色です(≧◇≦)。ゆっくりと進みます。先頭が香呂、後ろが法器。香呂からとても良い香りがします(≧◇≦)。
席がこんなに近い(≧▽≦)! 次期法印様、有縁のご住職、私、の順で座してます(゚Д゚;)。上座過ぎるだろ・・・(゚Д゚;)。
松三宝が運ばれ、いよいよ「松三宝の儀」です。お米の山に松を立てています。
お米と昆布をお渡しした瞬間に一斉にフラッシュが! 眩しい! 新聞で見る写真と同じ(≧◇≦)
山内ご住職方のお祝いを受け、一同総禮にて轉衣式は無事終了。
轉衣式の後はお斎(もちろん精進料理)をいただきました。蟠龍庭(ばんりゅうてい)を望む。この轉衣式のために昨日今日と一般参拝を中止しています。せっかくお参りいただいた方には申し訳ない気もします。
この玄関で出入りするのも、今日これっきり・・・。おそらく、私が元気にウロウロできる間にはないだろうなぁ・・・。この玄関を出入りできた事だけでも大変にありがたいことです。
帰りは籠で金剛三昧院へ戻ります。
沢山の方に見送られます。偶然居合わせた観光客の方はさぞかし驚いたことでしょう。
籠の中には先ほどの香呂も入れてあるので、狭いらしいですw。
快晴に恵まれて、何から何までめでたいことであり、ありがたいことです。
籠自体も重いので担ぎ手の方は交代しながらです。
坂がキツイ(゚Д゚;)。
籠行列を前から見るとこんな感じ。カメラマンがスゴイ数です(゚Д゚;)。
金剛三昧院山門をくぐります。
金剛三昧院に着。担ぎ手の皆さん、お疲れ様でしたm(_ _)m
法印様からご挨拶。この後記念撮影に、気さくに応じられていました。
金剛三昧院上段の間にて。私も記念撮影をさせていただきました。宝物です(≧◇≦)
轉衣式の後、伽藍へ。開創1200年記念事業で復活した中門の朱が眩しい(^_^)。落慶法要を待つのみです。
青空に映える根本大塔。専学同期クンが伽藍に勤めており、久々の再会。専学同部屋の彼には沢山助けてもらい、感謝しています。開創法会を間近に控え忙しそうでした。
法印転衣式には初めて参加させていただきました。ご案内をいただかなければ出席が叶わないので、大変貴重な体験でした。お斎の席で、偶然に専学同期のお父様にお会いしました。彼には四国遍路でお世話になっておりお父様にお会いするとは・・・。先日の神戸轉法輪寺長原大僧正もご参列で、覚えていてくださり大変感激しました。思いがけない方に沢山お会いすることができたのも、お大師様のお導きの賜物であり、法印様のご縁であり、高野山のありがたいところだと感じましたm(_ _)m。
明日は、蔵寶寺さんの八千護摩結願です。
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